京都の夏の風物詩のひとつに五山の送り火があります。
毎年お盆の8月16日に行われる京都の伝統行事です。各地から大勢の人が集まる京の夏、代表の観光スポットです。
京都三大祭(葵祭、祇園祭、時代祭)に加えて、京都四大行事の一つにも数えられる夏の風物詩です。
大文字焼きとも呼ばれており毎年、国内だけでなく海外からも大勢の夏の風物を楽しむ観光客が集まり、京の街はたいへん賑わいます。
そんな五山の送り火をスムーズに観覧できるよう、スポットや点火時間など詳細をまとめてみました。
五山の送り火・スポット
すべての五山の送り火をいっぺんに見たい場合は、高いところから見るしかありません。
例えば、京都タワー、舟岡山公園、京都ホテルオークラ、京都駅ビル空中経路などがあります。
ひとつかふたつをじっくりと堪能したいのなら、やはり有名どころは「大文字」です。
ゆっくりと送り火を楽しみたい方は「鳥居形」をお勧めします。ちなみに「鳥居形」だけ少し遠くにあるため比較的、混みあいません。
送り火は、近くから見ると豪快なパチパチと焼く音や、鐘の音なども聞くことができ、雰囲気を楽しむことができます。
では、定番の観賞スポットを紹介しますね。
当日は交通規制も多く、加茂街道(葵橋以北)や金閣寺、渡月橋の周辺などが午後7~9時に歩行者専用道路になります。
(交通規制の詳しい問い合わせは京都府警察本部交通規制課管制係:075-451-9111)
それから、五山の送り火は、5つそれぞれの山に灯される文字が違いますので、特徴も書いておきますね。
五山の送り火・特徴
五山の送り火は、それぞれの文字に趣があります。
どれも京の街とマッチしていますが、それぞれの文字の特徴も気に留めて観賞すると、より感慨深い伝統行事が楽しめますよ。
五山の送り火・時間
点火の予定時間です。午後8時より順次点灯で、各送り火30分~40分程度と短い点灯です。
五山の送り火・意味や歴史
京都の伝統行事として有名な五山の送り火は、毎年8月16日夜行われ、特に「大」の字が浮かび上がる大文字が特に知られています。
行事の起源等は明確に解っていない面もありますが、現在では死者の霊を送る宗教行事として毎年行われており、民間の間で数百年以上受け継がれている行事です。
誰が始めたのか、いつから行われているのかは不明ですが、江戸時代の前期ごろには、すでに行われていたと考えられるため、歴史ある行事です。
平安時代や室町時代に送り火が行われていたと考える説もあるそうですが、確かではありません。
行事の流れとしては五山に一斉に送り火が灯るのではなく、5分毎に点火されていく事になっています。
まずは大文字が20:00に灯り、松賀崎妙法が20:05、船形万燈籠が20:10、左大文字が20:15、鳥居形松明が20:20点火となります。
こうした点火時間は1962年以前は統一感が無かったものですが、1963年からは大文字の20時点火から始まるように固定化され、そこから2014年に点火時間の変更があり、5分おきの点火となっていきました。
五山で文字や図形を形取った炎が、お精霊(しょらい)さんと表現する死者の霊をあの世に送り届けると言われており、京都では盆の事を盂蘭盆会(うらぼんえ)と言って、8月13日に迎え鐘をついてお精霊さんをお迎えし、六道まいり等で始まります。
そこから16日の夜に五山送り火と共に、お送りするというものであり、送り火が灯る時には京都のネオン街は消灯されて、大文字から始まり東から西に反時計回りに点火され、そこから1時間程燃え続ける事になります。
大文字では「大」の字が大文字山で浮かび挙がり、松ヶ崎妙法は「妙」が松ヶ崎西山、「法」が東山で浮かび、船形万灯籠は西加茂船山に船形図形が浮かび、左大文字も「大」の字が大北山で浮かび、鳥居形松明は曼荼羅山に鳥居図形が浮かぶ形です。
火を扱う伝統行事であり、全国から多くの観光客も訪れるのですが、雨が降った場合でも中止にならず多少の雨でも行う事になり、集中豪雨等があった場合は延期になった事があります。
五山送り火では厄除け利益があると信じられており、送り火点火に使用される護摩木に名前や年齢、持病等を書いて納めて、点火用として焚く事で厄除けに繋がると言われる側面もあるのです。
五山送り火を大文字焼きの事として認識されている方も多いですが、大文字焼き自体は京都以外の場所でも行われている所もあり、京都では大文字焼きと表現する例は少なく、大文字の送り火や大文字さんと呼ぶ事が多いです。
五山の送り火・護摩木
参拝者は送り火用に願いなどを記した護摩木を奉納することができます。例年の五山の送り火、護摩木(ごまぎ)の受付予定です。
各山とも300円。護摩木の受付時間は予定ですので変更するかもしれません。
また、なくなれば早く終了します。「妙法」は受け付けていません。
上記の受け付け意外に、数年前ですが、わたしは河原町四条の京都タカシマヤで、奉納用の護摩木を購入したことがあります。
五山の送り火・消し炭
五山の送り火は、16日の点灯だけではなく、翌日の17日まで京都の伝統行事として認識されているんですよ。
それは消し炭のご利益として、送り火の消し炭は厄よけなどのご利益があるとして、大文字焼きが焚き上げられた山に翌日の早朝に地元の人たちが登り、消し炭をいただきに行きます。
その消し炭を半紙にくるんで水引でくくり、戸口などに飾られるのを京都のお店や、家庭の玄関口などでよく目にするかと思います。
京の郷土史家として有名な故田中緑紅さんの「京の送火」(1957年)には消し炭は、疫病よけ、中風のまじない、などと書かれています。
江戸時代では松の消し炭は民間療法で胃腸薬として使われたとも言われております。
昔から炭というのは、なくてはならないものだったんですね!近年ではあたり前のように、炭は健康や美容アイテムの素材として利用されていますが。
それからこの消し炭は、地方の方にも有名になり、多くの人がこの炭を求めて山を登りますが、まだ燃えている木を取る人が増えてきたとのことで、保存会では対応に苦慮しているとの声もありますので、マナーは守りましょうね。
まとめ
京都において神聖な行事として行われている五山の送り火の、観賞スポットや点火時間、その他概要などをまとめてみました。
わたしは長年、京都に住んでおりまして、五山の送り火が終わると毎年「そろそろ夏も終わりかな」と風流な伝統行事を体感できることが有難いなと思っています。
